大手出版社ら、自炊代行は著作権法違反と電子化業者に通知




講談社角川書店集英社小学館、光文社、新潮社、文藝春秋の大手出版社7社、ならびに東野圭吾氏や浦沢直樹氏をはじめとする有名作家・漫画家ら122名が、国内100社あまりの「書籍電子化代行業者」に対し、著作権者に無許可で書籍電子化の代行を行わないよう文書で通知を行いました。あわせて今後のサービス継続意思について業者宛に質問状を送付し、9月16日までの回答を求めています。



昨年、iPadKindle の人気と前後して注目されるようになった書籍の電子化、いわゆる「自炊」のトレンドは、裁断器やスキャナの個人所有熱が高まる一方、書籍のバラシからスキャンまでを代行する業者の人気にも繋がっています。しかし、著作権法を鑑みれば、個人による自炊は私的複製の範囲内ながら、業者による自炊代行は著作権侵害ではないかというのが通説です(参照:INTERNET Watch 福井健策弁護士の見解)。大手出版社が一丸となった今回の措置は、この見解を踏まえ「続けるつもりならしかるべきところで争うからね」と示す、文字通りの「通知」と言えます。



もっとも、自炊に対する需要の高さは、電子書籍環境は整備されつつあるのに、肝心のコンテンツが十分でないというユーザの不満のあらわれでもあります。電子書籍元年と騒がれた昨年から、数々の電子書籍端末が発表されていますが、たとえば100万冊近い書籍を購入できる Kindle に比べると、対応書籍数に乏しいと言わざるをえないのが現状です。さらに言えば、既存書籍の電子書籍対応が進まないのは、コンテンツの管理を印刷会社に任せてきた国内出版界の風習のせいでもあります。



自炊データにはDRMがないとか、電子化されるとP2Pなどへの流出が懸念されるなど、出版業界の不安は理解できるものです。しかし「読みたい本を読みたい」という読者の一番の需要を誰かが満たしてくれない限り、どのような形かはともかく自炊ブームは続いていくはず。コンテンツ拡充に向けた出版社側の前向きな取り組みにも期待したいものです。



NHK, INTERNET Watch
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